【海外の反応】リゼロのスバルはうざくない? スバルと異世界モノの主人公達について
リゼロこと「Re:ゼロから始める異世界生活」は異世界モノの小説、アニメとしては有名な作品ですが、今回はそんなリゼロのスバルについて書かれた記事を発見したので紹介していきたいと思います。
前回投稿したFateの記事と違って作品やキャラクターをボロクソに批判する記事ではないのでそこは安心してください。
この記事を書いたProntonstormさんもその辺、リゼロファンに考慮したのかもしれません。
以下翻訳です。
リゼロは今のところ今シーズンの中で私が一番好きなアニメです。
オタクがある日突然異世界に迷い込んでしまう、というのは比較的ありふれた設定かもしれません。
しかし、この作品の主人公にはある特殊な能力があります。
それは主人公が死んだ際に前回のチェックポイントからやり直せるという能力です。
この能力がなにかしらの企ての可能性をほのめかす一方、リゼロは(あくまでも私の意見ですが)比喩的に、あるいは文字通りの意味でかつ確実に設定を上手く使っています。
多くの人がこの作品の不満を口にしますが、その多くが主人公スバルに関することで、人々はスバルの非論理的な振る舞いや物事をややこしくする行動にうんざりしています。
しかし私は興味深いことにスバルが好きです。今回は、なぜ私がスバルを気に入っているのか説明したいと思います。
こうやってスバルが嫌いなあなたにスバルを気にいるよう説明している間でも、私はスバルのストーリー上における役割と彼の性格は良く出来たものだと思っているのです。
スバルについて書く前に、まずはリゼロに似た別の作品のキャラクター達について書いていきましょう。
そのキャラクター達というのはいわゆる「異世界モノ」の主人公なのですが、なぜ私がこれに言及するのかといえば、この手の作品の主人公達は得てしていくつかの共通点を持っているものだからです。
私の見解では「異世界モノの主人公」とは異世界モノ作品における典型的主人公のことを指します。
多くの場合異世界モノの主人公は突然準備もなしに異世界へ投げ出されたり、困難に打ち勝つための特殊な能力を持っていたりします。
またこれらの主人公達は勇敢かつ賢い人で、持ち前の知恵で困難な状況を打ち破ることも多いです。
主人公のまわりのキャラクターはそんな主人公に魅せられるのですが、それは主人公がいい男だからでもありますね。
そしてこれこそがスバルが望んでいた姿で、ある意味スバルはこの特徴を出せていますが大体歪んだ形で出ています。
なぜなら彼の「異世界モノの主人公」としての姿は完璧ではないからです。
ですが私はこの不完全さがスバルをより興味深いキャラクターにしているのだと思います。
物語の冒頭、スバルは異世界に迷い込み、不幸なことに街のゴロツキに絡まれてしまいます。
そこでハーフエルフ、エミリアと出会いゴロツキに絡まれているところを助けてもらいます。
そしてスバルは助けてもらったお返しにエミリアの手助けをすることを決意する、これがリゼロ序盤での話です。
しかしここで1つ大きな問題があります。それはスバルが全然強くないことです。
スバルには卓越した能力はありませんし、神秘的な力を持つ剣もありません。
序盤はある種このすばの主人公カズマに近いと言えるかもしれませんね。
しかし、このすばのコメディな世界観と違いリゼロの世界観ではスバルの弱さが許容される余地は無く、この弱さがすぐに問題になっていきます。
スバルはある日図らずも強敵に出くわし殺されてしまいます。
これがリゼロの初期の導入部であり、ここからこの作品は面白くなってくるのです。
そして多くの異世界モノの主人公達と同様、スバルにも特殊な能力、死に戻りがあることが判明します。
ですが多くの異世界モノと違い、この死に戻りという能力はスバルが生きている間は何の役にも立つことはありません。
むしろ能力のことについて他者に伝えようとすると苦痛を感じるためかえって辛いかもしれません。
しかしこの能力は彼に前回のチェックポイントまでやり直す機会を与えます。
スバルの無敵すぎないこの能力こそがストーリーをより魅力的なものにし、異世界モノの常識を破る事に繋がっているのです。
リゼロの序盤、スバルの葛藤や物語の緊張感により、この能力は私の興味をそそるものでした。
スバルが死ぬ度に彼が他のキャラクター達と歩んで来た過去はリセットされますが、私はこのことにより2人のスバルが生まれると思っています。
つまり、スバル本人が知る「スバル」と他の人にとっての「スバル」です。
スバルはこの事実を飲み込むのにもまた苦労を強いられます。
キャラクター達との関係性をも巻き戻してしまうこの能力はスバルに死へのトラウマを埋め込みますが、一方ではこのことがスバルを徐々に強くしていくのです。
惨たらしい死から何度もやり直すことは簡単なことではありません。
加えて、他のキャラクターはスバルが死ぬ度に記憶を失うので、スバルは多くの主人公達がしてきたように他のキャラクターに頼ることができません。
これにより、エミリアや他のキャラクター達から見るとスバルは何故か毎回上手く危機を救っているように見えます。
もちろんそれはスバルの数々の失敗によって得られた様々な情報のおかげだから、なのですが。
このドラマチックな皮肉はそれ自体とても見事なものですが、これに対するスバルの反応がずば抜けて優れており、これも私がスバルを気に入っている理由の1つです。
スバルはファンタジーな漫画やゲームをしばしば嗜むオタクのニートでした。
リゼロのファンタジーな世界に入ったスバルは、このファンタジーの知識を上手く使おうと試みますが何の役にも立ちません。
現実はスバルが死に戻り以外何の能力も無く、能力の成長の兆しもありません。
しかも他の異世界モノの主人公達のような頭脳さえもないのです。
スバルがリゼロの世界で生きながらえている唯一の理由は失敗したらやり直すことができるから。
繰り返される死の苦しみは相当大変でしょうが、こういったことが彼をある種馬鹿げた事態に巻き込んでいきます。
多くの場面でスバルは自信に満ち溢れたヒーローを演じますが、彼の理想にあった能力を伴っていないために打ちのめされます。
スバルの望む、ファンタジー世界の主人公になりきろうとするその頑固さが彼の失敗をより悪化させることになるのです。
この頑固さが純粋にスバルの非論理的な振る舞いの原因になっているうちはスバルの置かれている状況は明瞭さに欠けます。
それは彼の望む姿ではないですが、異世界に迷い苦しむ人間として、スバルは自分自身を位置付けています。
わかりやすく言うと、スバルは自分自身を「エミリアを救える唯一の人間」として位置付けているのです。
確かにエミリアが死ぬ状況を避けるのは正しいことですが、視聴者にとってこれはうわべだけのものに見えて仕方がありません。
その良い例が12話にあります(まだ12話を見ていない人はネタバレマークのついてる部分は飛ばして読んでください)。
*12話と13話のネタバレ注意*
12話、エミリアが王都で女王候補としてあがった時、スバルは当然のように自分がエミリアの役に立てると考えていました。
しかし、いったいスバルに何ができるというのでしょうか。
スバルには何の戦闘能力も知性も持ち合わせていません。
そして残念なことにここでのスバルはただエミリアへの依存心を一層強めているだけなのです。
「エミリアを救えるのは自分だけ」
そんなある種マントラのような文言を抱えたスバルは徐々に道を踏みはずしていきます。
セレモニーが始まった際、スバルは公衆の面前でエミリアの騎士を自称します。
しかし多くのファンタジー作品の主人公達と違い、スバルにはその宣言に見合うだけの能力は伴っていません。
最終的には部屋から追い出され、結果スバルは馬鹿げた振る舞いをした挙句に敵まで作る始末。
その後本物の騎士であるユリウスはスバルに模擬戦を申し込みます。
当たり前のことですがスバルはこれに完全に敗れます。
スバルはユリウスに殺されることで状況をリセットしたかったことでしょう。
もちろんユリウスに殺されることは無かったわけですが。
しかしスバルの失敗が公に晒されることで、スバルの価値観は徐々に自壊していきます。
戦闘で負傷した後、エミリアはスバルになぜユリウスと模擬戦をしたのか尋ねますが、呪いによってスバルは理由を喋ることができません。
結果はただスバルが恩着せがましく喋るだけで、事態を明瞭にするどころか彼の自己中心的な振る舞いによってエミリアとの関係を壊しただけでした。
*ネタバレ終了*
なぜ私はリゼロが好きなのか。それはスバルが従来の異世界モノの主人公としては型破りなキャラクターだから、あるいは作品のテーマに一貫性が見られたからです。
スバルは異世界モノの主人公に相応しい能力を持っていません。
彼は能力をそこまで伸ばしていませんし、自分を表現することも得意じゃない。
スバルは決して多くの人に好かれるキャラクターではありません。
ですがスバルは死ぬ度に何度もやり直し、強大な敵に立ち向かっていきます。
そして遂には数々の失敗を重ねてきて困難に打ち勝っていくのです。
最後に
リゼロのスバルは多くの人から嫌われているキャラクターですが皆さんはどうでしょうか。
スバルは異世界モノの主人公の中でもかなり癖のあるキャラクターですから今回の記事を読んだ人の中にもスバルが嫌いな人はそこそこいると思います。
今回紹介したProntonstormさんの記事を読んでスバル嫌いが少しは改善されたという人はいますかね。
私はちょっと改善された気がします。
癖が強いということは個性的、ということですからね。それもキャラクターの魅力の1つなのかなと思いました。